こんにちは。こまらん塾心理秘書の安田です。
今回は、「教師期待効果」という用語についてのお話です。
教師期待効果は別名ピグマリオン効果とも呼ばれ、
アメリカの心理学者ローゼンタールの実験により提唱されました。
これは、他者からの期待を受けることにより、
その期待に沿って成果を出すことができるという心理的な効果のことを言います。
つまり教育現場においては、先生が生徒に対して期待を持つことにより、
生徒がその期待通りの結果を出せることを意味します。
この心理的な効果は、ピグマリオン実験によって明らかにされました(Rosenthal et al., 1968)。
1963年に行われた最初の実験では、
大学の学生たちが2つのグループAとBに分けられ、ネズミを用いた迷路実験を行います。
学生たちはネズミを渡される時、
グループAには「良く訓練された賢いネズミ」、グループBには「訓練があまりされていないネズミ」であると伝えられます。
しかし、本当はネズミに個体差はありません。
そのため実験の結果は同じになるはずですが、
実際はグループAのネズミの方が結果が良く、
さらにグループBよりもグループAの方がネズミを丁寧に扱っていたことも明らかになりました。
この結果からローゼンタールらは、
学生が、教師が期待している結果に応えようとしたと結論づけ、
このような相手の期待に応えようとする心理は他の場合においても起きるのではないか
と考えました。
そこで1964年には、サンフランシスコの小学校にて、
ハーバード式突発性学習能力予測テストと名付けた知能テストを使用した実験を行いました。
このとき、学級の担任には実験とは知らせませんでした。
テスト後、生徒を無作為にAクラスとBクラスに分けました。
そのため実際には、クラスごとの成績の差はありません。
ところが、学級担任にはAクラスを「優秀な子どもたち」、
Bクラスを「成績の良くない子どもたち」と伝えたところ、
Aクラスの成績が向上する結果となりました。
これらの実験から、
人間は相手からの期待に無意識に応えようとすることで、パフォーマンスが向上する
という効果が確認されました。
これを、教師期待効果(ピグマリオン効果)といいます。
なお、このピグマリオン効果とは反対の概念の、
ゴーレム効果というものもあります。
これは、他者からの期待がないことにより、
パフォーマンスが低下してしまうことを意味します。
【心理秘書からのひとこと】
教師期待効果が起こる背景には、教師の無意識的な振る舞いによる影響があると思います。
例えば、表情やしぐさ、声のトーンなど...。
これらの非言語的な要素は意識をしないと気づくことが難しいものですが、
人と人とのコミュニケーションにおいて大きな役割を果たすと考えられます。
教師の立場でも、そうでなくても、
このような点に少しでも意識を置くだけで、
コミュニケーションやその先のパフォーマンスに良い結果をもたらすのではないでしょうか。
みなさんには、この教師期待効果に当てはまるような経験はありますか?
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