こんにちは。こまらん塾心理秘書の安田です。
みなさんは「学校休んだほうがいいよチェックリスト」をご存知ですか?
このリストを利用する対象は、
「学校に行きたがらない子ども、学校が苦手な子ども、不登校の子ども、その他、気になる様子がある子どもがいる保護者または教員(子ども本人以外の人)」です。
これは2023年8月に不登校支援を行う3つの団体と精神科医によって考案され、現在はLINEにて無料で利用することができます。
今回はこの「学校休んだ方がいいよチェックリスト」に関して、
3つの観点から私が考えたことを共有させていただければと思います。
チェックリストの妥当性について
まず、このチェックリストの妥当性(どの程度正確に目的の内容を測ることができるのか)を検討していきたいと思います。
「学校休んだ方がいいよチェックリスト」は全20項目の質問から構成されており、
利用者はYESまたはNOで回答します。
気軽に利用できるという点で20項目はほどよい数であると思いますが、
回答の選択肢が2択のみであることが多少気に掛かります。
そもそもこのリストの利用者は、
「子どもが学校を休むことをある程度受け入れてはいるが、やはり少し不安が残っている」といった葛藤がある人が大半なのではないでしょうか。
そのような方々にYES/NOで回答を求めることは、少し酷であるように感じます。
また、ほぼ気持ちが固まっているという方であっても、
やはり回答の選択肢が2つのみであることが極端な回答につながり、
その結果、目的を正確に測ることができない可能性があると思います。
せめて「neutral」のような中立の選択肢を設けることで、
より妥当性の高いリストにつながるのではないでしょうか。
学校を休むことが根本的な問題解決になるのか
また、このリストを作成した背景には、
「不登校になることよりも無理をして学校に通うことで、過剰適応が引き起こされることが懸念される」との理由があるとのことです。
しかしながらこれに関しても、学校に通うことが難しくなってしまった要因を正確に理解しておく必要があると思います。
たしかに、周囲の友達との関係性がうまくいかずストレスが溜まってしまうといったような理由の場合は、学校に通うことが過剰適応につながると考えられます。
ですが学校の勉強についていけないというような理由の場合は、
不登校になったところで問題が根本的に解決するとは言えず、
むしろ学校に対して何らかのアプローチが必要であるように思います。
いじめと不登校について
さらに、チェックリストの回答を分析した結果、
やはり「いじめが要因となって学校を休みたい」と感じている人が多いのではないかという結果が得られたそうです。
しかし、不登校の要因がいじめであったと学校が認知している割合は、実際の割合よりも極端に低く、
これは「ネットを利用してのいじめが教育現場からは見えづらいこと」が原因なのではないかと指摘されています。
これに関しても、学校を休んだところで根本的な解決にはならないのではないでしょうか。
むしろ、学校に行かないことを責められるなど、さらにいじめが悪化する可能性も考えられると思います。
たしかに、ストレスがある状態で無理をして学校に通い続けるのではなく、一度休息の時間を設けることは大切であると感じます。
しかしながら、学校に通いたくないと感じる理由は子ども一人ひとり異なるため、
まずは個人の状態に目を向けることが必要です。
その上で、あくまでも一つの指標として「学校休んだ方がいいよチェックリスト」を利用してみるのが良いのではないでしょうか。
【こまらん塾代表 山本からのひと言】
心理秘書からのコメントにもある「学校に通いたくないと感じる理由は人ぞれぞれで、個人の状態に目を向けることの必要性」は、特に共感できる部分です。
「なんとなく行きたくない」なのか「行くと命の危険を感じる」というレベルなのか、丁寧に把握する必要があるでしょう。
加えて、このリストの監修には心理の専門家がいない、というところが気になるところです。スクールカウンセラーの勤務経験がある臨床心理士や公認心理師の資格を持った方にも協力を得られると、さらなる実態把握とチェックリストの妥当性向上にもつながるといえるでしょう。
監修を務めた団体の1つである「キズキ共育塾」の企業理念や不登校生徒を救いたいという想いは、私も感銘を受けるところがあります。
子どもたちが穏やかに教育を受けられるような環境をつくっていくためになにが必要なのか、改めて考えさせられるところです。
参考資料:「学校休んだほうがいいよチェックリスト」のご紹介〜作成者インタビュー付き〜 https://kizuki.or.jp/blog/futoko/need-not-go-to-school-list/
Comentarios