音楽を学ぶことと学業成績の向上には関連があると言われています。
今回の記事では音楽活動と学校での勉強に関して、特に英語に焦点を当てて考えていきたいと思います。
音楽活動の効果
音楽に関する活動を行うことで、どのような効果が得られるのでしょうか。ドイツの社会経済パネル(Socio-Economic Panel)を用いた調査では、学外での楽器活動を8歳以前から行った人は、17歳時点でより高い学業成績を示したという結果が示されています(Hille & Schupp, 2015)。これは、音楽活動は学業成績の向上につながるスキルを獲得することにつながっている可能性があることを意味していると言えます。
さらに、幼児期の音楽との関わりと、9〜10歳時点での言語能力・実行機能との間には、共通の要因があることも明らかになっています(Gustavson et al., 2023)。実行機能とは、ある目標に向かって自分の行動や考えを整理することができる脳機能のことです。
つまり、音楽に関する活動を行うことと言語能力や実行機能の向上には関連があり、それが学業成績の向上にもつながっている可能性があることが考えられます。もちろん、何か別の要因があった上で、音楽活動と言語能力・実行機能・学業成績との間に関連がある可能性は否めませんが、音楽活動の効果は期待できなくはないと言えます。
音楽活動と英語学習
では、英語学習について考えた時、それは音楽活動とどのような接点があるでしょうか。英語も音楽も、学習する上で共通となる要素は「音」に注意を払う必要があることです。音楽活動を通して音感を培うことは、聞き取りの力の向上に繋がり、さらにそれは英単語の習得や実際の英会話の向上にも良い影響を及ぼすことが期待できます。実際、幼少期の音楽の習い事に関して、たとえレッスンを受ける期間が短くても、その活動は学習能力や聞き取り能力を向上させるとも言われています(Tremmel, P. V., 2012)。
聞き取り能力以外でも、音楽が英語学習をサポートしている例はよく見られます。これは英語に限った話ではありませんが、例えば何かを暗記したい時にそれを音楽に乗せて(替え歌など)覚えた経験はみなさんにもあるのではないでしょうか?学習に音楽的な要素を取り入れることで、記憶のサポートをすることができていると言えます。
今回は音楽活動と英語学習について、その効果と接点に着目しました。音楽は私たちにとって非常に身近な存在です。レッスンを受ける・受けないに限らず、音楽活動が学校での勉強や言語学習に与えてくれるメリットを意識してみると良いかもしれません。
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