五月病ってなんだろう?
- 安田 菜々花
- 5月24日
- 読了時間: 4分
更新日:6月1日
こんにちは。新年度が始まって2ヶ月弱が過ぎ、なんとなくだるさを感じてきたという人もいるのではないでしょうか。今回はこの時期に起こりがちな、いわゆる「五月病」に着目し、その原因となるストレスそのものの意味と、ストレスとうまく付き合っていくためには何ができるのかを考えていきたいと思います。
五月病とは
五月病という言葉を耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。これは、4月に入学・進級した学生が、ゴールデンウィーク明けに無気力な状態になってしまう現象を意味しています。もちろん学生だけでなく、社会人にも起こりえます。この「五月病」は正式な病名ではなくいわゆる俗語で、同じような現象は夏休み明けにも起こりがちだと言われています。
では、五月病とは具体的にどのような症状を指すのでしょうか。医学的には、適応障害、うつ病、パーソナリティー障害、発達障害、パニック障害、不眠症が挙げられ、特に五月病の中で最も多い症状は適応障害とされています(恩賜財団済生会、2016)。新しい年度のスタートに伴う気の引き締まりがゴールデンウィークによってほどけ、慣れない環境や人間関係へのストレスが様々な症状に現れてくる時期が五月頃であることから、この「五月病」という言葉がよく用いられるようになったと考えられます。
ストレスについて
ここで、そもそものストレスに関する考え方に着目したいと思います。文部科学省は、
ストレス理論について以下のように説明しています。「ストレス理論は、医学と心理学に共通する理論であり、多くの精神的症状や身体的疾患とストレスの関係及びその対処法が研究されている。ストレッサーに対する人間の心身のメカニズムや反応を理解し、ストレス反応を軽減あるいはストレス障害の予防や回復を行うことを『ストレスマネジメント』と呼ぶ。」
ストレッサーとは、ストレスの原因となる出来事のことを指します。そして、心や身体に反応が生じることをストレス反応と言います。ちなみに心理学の用語として,ストレッサーとなるものに直面した時に「これはストレスになる!」と気づくことを認知的評価、そしてストレス反応が出ないよう対処していくことをコーピングと言います。
ストレスの対処法について
では、ストレスマネジメントとしてできることは何でしょうか。
ストレス反応を軽減する方法として、可能な限りストレッサーから離れることが考えられますが、現実的には難しい場合の方が多いかもしれません。そこで、ストレスの受け取り方のレパートリーを増やすこと、つまり上述した認知的評価の仕方を見直すことも一つの対策として意識できるのではないでしょうか。ある意味、ストレッサーとなるものはコントロールできないものなのだと認める心理的柔軟性も、ストレスマネジメントの一つと考えられます。
また、ストレス反応への対処法としては、自分がリラックスできる方法を分かっておくことが大切です。そしてその方法はたくさんあった方が良いかもしれません。趣味や娯楽など自分がリラックスできる対処法のレパートリーを増やすことは、ストレスと付き合っていく上での安心材料になるのではないでしょうか。私たちは何かに追われている時、そこから離れて一旦休むことに否定的な見方をしてしまうかもしれません。しかし、積極的な休息はパフォーマンスを改善することが示されています(本多、2013)。ストレスから離れて心身をリラックスさせることは日常の活動を再開する上で必要な時間です。ちなみに、心理学においてはその休み方のことをリカバリー経験と呼び、メンタルヘルスやワークエンゲイジメントと関連した研究が行われています。
何もしたくない...疲れた...と感じた時、その気持ちを無理に押さえつけようとせず、まずはストレスを認め、そして休むことに目を向けてみても良いかもしれません。そして、リラックスすることを通してまた日常へのやる気やモチベーションを得ることに期待してみるのはどうでしょうか。
参考資料
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